OLD midroom

40代で考えていたこと、1

こうして、区切りの40歳にアルマーニジャパンへ入社しました。
金曜日の夜まではバー二―ズにいて、皆との別れが悲しかったり、なんだかつらかったりして初めて会社で涙してしまいました。
そして、月曜日にはアルマーニジャパンで働きだすという、かなりハードな感じ。そのうえ、今度はある意味で本当の外資系、今までとは比べ物にならないような厳しいことが求められるような感じでした。また、本国との関係も全然違うと思いましたし、自分がどのようなことをここではしなくてはならないのか、一日も早く見つけなくてはと、少しあせっていました。

そして、出社一日目、期待と不安とやる気で席に就いたときです。私のチームになってくれた9名の人達の表情がとても気になりました。
何故なら、オフィスの雰囲気がとても暗くて、全員が常にPCに向かっている、誰も話もしないし、お昼なんて誰も私を誘ってもくれない、かなり孤独な感じでした。そのうえ、普通であれば代理店の人も挨拶や引継ぎに来るのに、それもないし、一体全体どうなっているのこの会社は?…。あと1ヶ月もしないうちに、イタリアからはたくさんのスタッフも来日するし、もちろんアルマーニ氏本人は16年ぶりだというのに、その為の準備は万全なの?インタビューや撮影等の打ち合わせは大丈夫なの?また1,000人もの要人が集まるのにそのケアは、社内だけでは絶対に無理、代理店の方々にも助けて欲しいのに…。

そんな気持ちで一日目が終わり、私はかなり不安と居心地の悪さを感じていました。
しかし、ここで負けてはいけません、まずは、自分の仲間となる皆を集めてそれぞれが今、どんなことをしているのか、また、今回の来日のことにどのくらい関わっているのか、そして私が入ってこの会社でやりたいこと、またやらねばならないと思っていることを話しました。それは、まず皆と仲良くなりたいということ、何も隠さず話して欲しいし、困った事は必ず私が何とかするように努力するし、周りの人も説得するので何でも言ってきて欲しいということでした。そして、もちろんPCを使ってのメールでの報告はあってもいいけれどそばにいるのだから、できるだけ顔を見て話しましょう。というお願いをしました。それから、今度は外の人、代理店の人を呼んで、是非この来日に関する件を一緒に手伝って欲しいし、皆さんの協力がないと出来ないので気持ちをひとつにして、アルマーニ氏を気持ち良く迎え、気持ちよく帰しませんか…と、お願いした。
そうしたら、皆の顔色が輝きだした。
社内の人も含めて、代理店の人達も「待っていました…そう言ってくれるのを。」
「僕たちも頑張りますよ。」と皆の距離がとても縮まった。

そしてこの時になって分かったのですが、スタッフと広報室長との距離は私の考えていた以上に今まではあったようだった。
何故なら、このアルマーニの広報室長というのは歴代とても優秀な方々が多かったし、また皆さん前職も一流ブランドの広報室長という方々、キャリヤも年令も私とは比べ物にならないような感じだったので、内外ともに一目置かれていたにようでした。
だから、私のように皆でやらなければ、出来ないようなタイプの人はいなかったようでした。でもだからこそ、私は一緒にやりたいと思ったのでした。

そして、それが今までの私の仕事の仕方なのです。自分のスタッフはとても大切な仲間、また代理店や外の方々はブレーンと考えています。だから、自分もオープンに何でも話すし、裏表もない関係を作りたいし、それが出来て初めていい仕事が出きるはず…。
また、上司は部下を選べるけれど、部下は上司を選べないのですからきちんとした関係をつくっていくのが私の役目と考えています。そして自分の部署で起きたことは、全て私の責任ですので、部下の人のせいにはしませんし、それをきちんと周りの人に説明、説得できるのが私の役目と思っています。
(まぁ、こんな事は周りの人に言う必要はありませんが…。)

こうして、皆とも少しずつ打ち解けてきました。
たぶん私のこんな性格や仕事の仕方も理解してくれたのかもしれません。
そして、ついに16年ぶりにアルマーニ氏が来日する日が来ました。

つづく

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