この10年くらい、必ずトランクルームから出して飾るのが習慣になっているのがお雛様。7段飾りのかなり古風なその顔立ちや衣装を見るのが楽しくて、いつもわくわくしながら、準備しています。
子供のころは、母が嬉しそうに、「あなたの初節句の時に千駄ヶ谷のおじいちゃん、おばあちゃんがプレゼントしてくれたのよ。未熟児で生まれて、元気に育つかどうか難しいかもとと日赤で言われたときもみんなで希望を捨てずに、絶対に大丈夫だよと保育器の私を見ながら話していたのよ。9か月で生まれてしまったから、本当にあの時代誰よりもちいさかったけれど、保育器の中で手足をバタバタ動かしていた姿を見ながらきっとこの数か月を乗り越えて、元気に育つはずと、、、思っていたのよ。」
と、いつもこのお雛様を並べるときに聞く、母からの私の子供のころの懐かしい話に花が咲き、とても幸せな気持ちになったものでした。
私が結婚して家を出てからも、母はこのお雛様を飾ることは毎年続けていましたし、きっとその時には私のこと、そして自分の母との絆を思い出していたことでしょう。
若いころはお雛様のあることすらすっかり忘れていたのですが、両親が亡くなり、実家を処分した時に、なぜかこのお雛様をどうしても持っていたいと、物置小屋を真剣に探したものです。
歳を重ねると感じる、自分と同じ歳のお雛様は、母や祖母との思い出がいっぱい詰まった大事なもの。
お雛様とお内裏様の入っている桐の箱には「みどりの初節句に」と書かれた母の文字が今でも残っていて、そうそう彼女はこんな筆跡だったなーなんて嬉しい発見も。
そしてこの数年は、お内裏様とお雛様だけではなく、三人官女、五人囃子、右大臣、左大臣、三人上戸、すべてを出してみるとどうでしょう。
私と同じ年月を経ていますので(笑)、昔は手に持たせていたお道具などは劣化してしまい持てなくなったものも沢山ありますが、顔や着物は今の時代では絶対にお目にかかれないような上品さと優しさで心が癒されます。
今年もそんな母や祖母との愛と絆を感じながら、幸せな雛祭りの日を過ごしました。
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