桜が咲くころになると思い出すのが、むかし昔のお花見デートのこと。
昼間の明るい時間ではなく夜桜を楽しむこのデートは、ロマンチックな自称遊び人男性の腕の見せ所でした。
東京で最も美しく、眺めればついつい『素敵!』とささやいてしまうような場所を求め、資料収集(笑)や場所定めのロケ班に勤しみ、咲き始めが良いのか、やっぱり満開が美しいのか、いやはや散りかけの花びら舞うころが良いのか、、、いっしょに楽しむ相手の女性をイメージして、プランを練るような方がいました。
どこで待ち合わせて、何を食べて、飲んで、、、どんな夜を過ごすのか、用意周到に。
そんな気合いの入った夜桜見物に呼ばれるほうの私たち女性も、『何を着ていこうか』、『お礼のプレゼントはどんなものにしたらいいかしら?』とあれこれ考えるのが楽しかったものです。
お互い心の準備(笑)をしていると、当日はお花見日和に恵まれ、気持ちも盛り上がって、思い出深い春のひと夜がスタートします。
おいしいシャンパンに始まり、食材にこだわったひと皿一皿。プレゼンテーションも完璧で、会話も自ずと弾みます。
やわらかな色、女らしい素材のワンピースに身を包んだ私に向けられる彼の眼差しも優しさいっぱいで、夜桜を楽しみながらそぞろ歩く春の一夜は、クリスマスより幸せに感じました。
30年前はそんな素敵でセクシーな大人のデートがよくあったし、ロマンチックな男の人もたくさんいたなぁと思い出した今日この頃。
最近は、それほど熱心に楽しもう、楽しませようという人が減ってしまったような気がします。
桜の時期にそんなことを思い出し、ちょっと寂しくなった私です。
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